ジメジメうっとおしい梅雨時の一服の清涼剤といえば、紫陽花(アジサイ)です。
シトシト降り続く雨にも負けず元気に咲き誇って、私たちを楽しませてくれますね。近所の公園や民家のお庭でもよく見かけるメジャーな花ですが、実際どんな花なのかと聞かれてすぐに正しく答えられる人は少ないかもしれません。
そこで今回は、紫陽花(アジサイ)の別名と花言葉・色の種類や言い伝え・咲く季節などについて詳しくご紹介します。今度、街を歩いていて紫陽花を見かけたら一緒にいる人にウンチクを披露したくなるような情報が満載ですよ!
紫陽花の花言葉の由来や言い伝え

紫陽花は「土壌のph(ペーハー)によって色が変わる」という不思議な特性を持っています。土壌のphが酸性なら青っぽい花が咲き、アルカリ性の土壌なら赤っぽい色の花が咲きます。ですから、紫陽花の花言葉はそんな色の移ろいやすさに由来するものが多くなっています。
また、紫陽花は小花がたくさん集まって一つの大きな花になっているように見えるので、その様子に由来する「仲の良さ」を表すような素敵な花言葉も持っています。ちなみに、小花に見える部分は実際には花びらではなく萼(ガク)なんですよ。
そんな紫陽花ですが、葉も茎も花も、間違って食べてしまうと嘔吐や痙攣などの中毒症状を引き起こしてしまう毒を持っています。それが転じて、いにしえより紫陽花には魔除けの効果があるとされてきました。
玄関に吊るせば金運アップ、トイレに吊るせば婦人病にかからない、などという言い伝えがありますから、機会があればぜひやってみてくださいね。
紫陽花の別名
紫陽花は特徴や形に由来する別名をいくつか持っています。和菓子の名前や俳句の季語では、紫陽花を表現するときにその風流な別名を使うことが珍しくありません。
紫陽花が土壌の状態によって色が変化するという特徴に由来しているものでは「七変化(しちへんげ)」「八仙花(はっせんか)」という別名が有名です。
形に由来するものでは、紫陽花の萼が4枚なことから「四葩(よひら)」という別名があります。さらに、紫陽花のまんまるで可愛らしい形に由来した「手鞠花(てまりばな)」という別名もありますよ。
今度、どこかで風流な紫陽花を見かけたときには、ぜひ別名を使って一句詠んでみてくださいね。
紫陽花の咲く季節

紫陽花といえば梅雨の時期の風物詩。そんな紫陽花は5月から7月頃にかけてが開花時期です。水を含んだ土や日陰を好みますから、梅雨時はまさにベストシーズンと言えます。6月上旬から7月にかけて全国各地で見頃を迎えます。
ところで、一般的な紫陽花の「花」と思われている部分は実は萼で、正式には「装飾花」と言います。「真花(しんか)」と呼ばれる本当の花は、装飾花に隠れた中心部に存在していますので、真花にも注目してみてくださいね。
紫陽花のいい意味の花言葉

紫陽花は、小花が密集して咲いているような様子が「家族が仲良く団らんしている姿」に似ていることから、「家族」「団らん」という花言葉を持っています。そう思って紫陽花を見ると、「今家族でどんなお話しをしているのかな?」なんて想像の世界に浸ってしまいそうですね。
また、「高嶺の花」も紫陽花の花言葉の一つです。紫陽花の花の美しさと、土壌の状態によって色が変わっていく様が「気まぐれでこっちを振り向いてくれない高嶺の花」をイメージさせます。
紫陽花の怖い花言葉
家族団らんを想起させる素敵な花言葉を持つ紫陽花ですが、色の移ろいやすさから「浮気」「移り気」「冷酷」という怖い花言葉も持っています。恋人やパートナーにプレゼントする花としてはデンジャラス過ぎる花言葉です!
とは言え、日本人にとっての紫陽花は、どちらかと言えば「梅雨で薄ら寒い雨の中、健気に頑張って咲いている花」というイメージなはず。もし梅雨の季節に健気に咲いている紫陽花を見かけたら、微笑ましい気持ちで穏やかに愛でてあげたいものですね。
紫陽花の色別の花言葉
水色系の色がイメージされる紫陽花ですが、「七変化」という別名からもわかるように、土壌のphや一定の条件下で白からピンク、赤、青、紫……と、花色が変化します。まさに七変化!そんな紫陽花には、全体的な花言葉だけでなく、それぞれの色に特化した花言葉もあります。
そこで、ここからは紫陽花の色別の花言葉についてご紹介します。もし誰かに紫陽花をプレゼントしようと思ったら、シチュエーションと花言葉を照らし合わせて色を選ぶのが粋ですよ。
白
-
「寛容」「ひたむきな愛情」
ピンク・赤
-
「元気な女性」「強い愛情」
青
-
「冷酷」「無情」「高慢」「あなたは美しいが冷たい」
紫
-
「謙虚」「清澄」「神秘」
黄色
-
–
黒
-
–
白色の紫陽花

寛容 ひたむきな愛情
花嫁さんのブーケや結婚式場の装飾に使われることも多い白い紫陽花。
これから最愛のパートナーの色にのみ染まっていく決意と、お互いに寛容な心で寄り添っていきたいという気持ちがこもった素敵な花言葉ですね。
ピンク・赤い色の紫陽花

元気な女性 強い愛情
温暖な気候の中で開花時期を迎えるフランスで生まれた花言葉です。
いつも元気で愛情深いお母さんを思い起こさせる花言葉ですから、ピンクの紫陽花は母の日のプレゼントにおすすめです。
酸性土壌の日本でピンク系の紫陽花を咲かせるには土壌をアルカリ性に整えるところから始めなければならないので、手間の掛かったワンランク上の紫陽花です。
青色の紫陽花

冷酷 無情 高慢 あなたは美しいが冷たい
なんだか穏やかでない怖い花言葉ばかり並びますが、冷たさをイメージさせる青色から生まれた花言葉です。薄ら寒い梅雨のシトシト雨の中でも凜として咲いているその姿は、美しいながらも冷酷で高慢そうに見えるのかもしれませんね。
紫色の紫陽花

謙虚 清澄 神秘
紫色は古来高貴な人にのみ許された神秘的な色でした。
紫色の紫陽花は凜とした美しさと謙虚さを兼ね備えた貴人のよう。そんな自ら主張せずともおのずと感じられる、澄み渡るような美しさから、この花言葉がついたのかもしれません。
黄色・黒色の紫陽花

黄色・黒色の紫陽花には、その色に特化した花言葉はありません。ですが、一般的に花言葉では黄色と黒色は花の種類によらずネガティブな意味の花言葉を持つものが多いようです。
なお、黄色・黒色の紫陽花は自然界には存在しませんので、販売されているものは、ほぼプリザーブドフラワーとなります。
紫陽花の種類・品質一覧
梅雨の時期特有のシトシト雨に映えるその美しさは最古の歌集『万葉集』にも登場するほど、日本人にとっては古来馴染みの深い紫陽花。現在ではヨーロッパなどでも品種改良され、世界中で愛されています。一説によると、野生種・園芸種を合わせると2,000種以上もの品種があるとか。
ここでは、そんな紫陽花の中から特に人気の品種と、その花言葉をご紹介します。
アジサイ(西洋アジサイ)
紫陽花は日本が原産の花です。日本古来の「ガクアジサイ」を日本で品種改良したものが「ホンアジサイ」、そしてホンアジサイをヨーロッパで品種改良して日本に逆輸入したものが「西洋アジサイ」と呼ばれます。
一般的にアジサイとして親しまれているこんもり丸い紫陽花は、ざっくり分類すればホンアジサイか西洋アジサイの系統になります。
花言葉は、「家族」「団らん」「和気藹々」「移り気」「浮気」「高慢」「無情」。ちょっと両極端な言葉が並んでいるところが特徴的です。
ガクアジサイ
日本古来の品種「ガクアジサイ」。真花がほとんど見えないほど装飾花が目立つ「アジサイ」とは違い、ガクアジサイは中央に密集して咲いている真花を装飾花が脇役の額縁のように囲んでいます。そんな姿がこの花の名前の由来になっています。
花言葉は「謙虚」。真花も装飾花も主張し過ぎずお互い譲り合うように咲いている姿は、まさに謙虚そのもの。日本らしい奥ゆかしさを感じさせる紫陽花ですね。
ヤマアジサイ
ヤマアジサイは山や沢に自生している日本古来の野生種です。ガクアジサイよりも全体的に小ぶりで、装飾花もまばら。一般的な紫陽花のイメージとはちょっと違う見た目が特徴です。野生種でありながら、自宅などでも育てやすいところが人気となっています。
花言葉は「乙女の愛」「切実な愛」。山の木陰にひっそり咲く、華奢で可憐な花の様子から、この花言葉が生まれたそうです。
カシワバアジサイ
北アメリカ原産のカシワバアジサイは、その名の通りカシワの葉のような大きな葉とピラミッドのような円錐形に咲く花が特徴です。装飾花を剪定せずにそのままにしておくと、色が白からピンクや緑に変化していきます。
花言葉は「慈愛」「清純な心」「魅力ある人」「優美」「元気な女性」。優美で清純な花の姿がその由来になっています。耐暑性・耐寒性に優れており鉢植えでも育てやすく、公園などでも植栽されることが多いです。
アメリカアジサイ(アナベル)
アナベルの愛称で呼ばれるアメリカアジサイは、花色が土壌のphに影響されません。開花期も長く、咲いた花をそのままにしておけば、初夏から晩秋にかけて少しずつ花色が変化していきます。白、ピンク、緑など、様々な色の変化をじっくり楽しめますよ。
花言葉は「ひたむきな愛」「辛抱強い愛情」。真っ白に咲く花の純粋さから、このような花言葉が生まれたと言われています。
ノリウツギ
別名・ピラミッドアジサイとも呼ばれるノリウツギ。耐寒性に長けた品種なので、寒い地方でも積雪にさえ気をつければ冬に外に出しっぱなしでもOKです。季節の移ろいとともに花色が変化し、冬まで花をつけておけば、最終的にはドライフラワーとして楽しめます。
花言葉は「臨機応変」。花の色が刻々と変化していくことから、この花言葉がついたと言われています。鉢植えでも楽しめますから、ノリウツギを部屋に飾ってゆったりと季節の移ろいを感じるのもおすすめです!
ラグランジア
ラグランジアは、すべての側芽(枝につく芽)に花がつくという画期的な新種です。剪定の有無にかかわらず毎年たくさんの花が咲きますから、ガーデニング初心者さんでも上手に育てることができるでしょう。
新しい品種なので、ラグランジアに特化した花言葉はまだないようですが、真っ白で可憐な花がつくラグランジアはブライダル業界でも大注目です。近いうち、花嫁さんに合うような花言葉がつけられるかもしれませんね。
コンペイトウ
お菓子の金平糖を彷彿とさせる星形の装飾花が可愛らしいコンペイトウは、土壌のphによりピンクから青・紫まで色が変化する紫陽花です。装飾花が幾重にも重なり合っている八重咲きなので立体感があり、蘭のようなゴージャスさも醸し出していている、珍しくてレアな品種です。
花言葉は「忍耐強い愛情」。枝が強く、大きな装飾花がたくさん咲いても枝がしっかり支えることが由来となっています。
てまりてまり
西洋アジサイとヤマアジサイとの交配によって生まれた紫陽花が、てまりてまりです。小さな装飾花が幾重にも重なり、まんまるな手鞠のような形を作り出しています。花持ちが良く、長く楽しめるところもおすすめポイント。
花言葉は「家族団らん」「和気藹々」。装飾花がたくさん集まってわちゃわちゃ楽しそうに咲いている様子がうかがえる、素敵な花言葉です。
母の日のプレゼントに紫陽花はおすすめ

母の日のプレゼントに贈る花といえばカーネーションですが、昨今は、変わり種で紫陽花を贈る人も増えてきています。ブーケやアレンジメントよりも、存在感のある鉢植えが人気のようです。
紫陽花は「家族」「団らん」が全体的な花言葉ですから、仲良し家族のお母さんに贈る花にぴったり。特に、色別花言葉が「元気な女性」のピンクの紫陽花や「寛容」が花言葉の白い紫陽花がおすすめです。
「お母さん、これからも元気でいてね。心配させちゃうこともあるけれど、怒るときはお手柔らかにね」というメッセージをこめて……!
紫陽花の基本情報まとめ
- 花言葉
-
「家族」「団らん」「浮気」「移り気」「冷酷」
- 別名
-
「七変化(しちへんげ)」「八仙花(はっせんか)」「四葩(よひら)」「手鞠花(てまりばな)」
植物の分類(科・属) | アジサイ科アジサイ属 |
原産国 | 日本 |
和名 | アジサイ(紫陽花) |
英名 | Hydrangea |
咲く時期 | 5月~7月 |
切り花の日持ち日数 | 1週間程度 |