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【特集】  細田守監督独占インタビュー『未来のミライ』が生まれたワケ

カルチャー

細田守監督独占インタビュー『未来のミライ』が生まれたワケ

まとめ編集部 kyoko

細田守監督、最新作に込めた想いを独占インタビュー

『サマーウォーズ』(09)『おおかみこどもの雨と雪』(12)『バケモノの子』(15)とヒットを飛ばし続ける細田守監督の最新作『未来のミライ』が大ヒット上映中です。 3年ぶりの新作となる『未来のミライ』は、4歳の主人公くんちゃんが、未来から来たミライちゃんに導かれ、時空をこえた家族の物語を巡るという冒険ファンタジー。オリジナル作品では一貫して家族の形をテーマに扱っている細田監督に、最新作に込めた想いを聞きました。

「4歳の子どもから見た家族」を描き出すチャレンジ

――今回の作品は兄妹に焦点を当てた「家族の物語」ということですが、『時をかける少女』(06)のテーマである「未来」と、オリジナル三部作(『サマーウォーズ』(09)、『おおかみこどもの雨と雪』(12)、『バケモノの子』(15))のテーマである「家族」の両軸からのアプローチを感じました。どのような経緯で『未来のミライ』が生まれたのか教えてください。

たしかにビジュアルポスターからは『時をかける少女』(06)との相似性を指摘する方もいるのですが、実際のところはやはり家族というテーマを連続性の中で作っていったらこの作品が生まれた、というところです。

どちらかというと、家族というよりも子どもを描きたい、子どもの変化を描きたいということが根本にあり、家族はその側という位置付けです。

今回の物語は「4歳の子どもから見た家族というのはどう見えるのだろう」と思ったのが始まりで、自分の中でもかなりチャレンジングな作品となりました。

子育てしていると自分の子ども時代を思い出すことがすごく多く、子どもを通して幼少期をもう一度生き直している感覚があります。『時をかける少女』はSFという設定がないと時間を飛びこえられなかったのですが、小さな子どもといるとそれだけで時空を飛びこえられるんですよね。

小さな子どもといると、時空をこえて昔の自分と繋がることができる

――子どもと一緒にいるだけで、ファンタジーの世界に行けるような?

そうなんです。たとえば本編にも自転車の練習をするシーンがあるのですが、背中を押している時は「ああ、自分の親もこんな気持ちで背中を支えていたのか」と親の気持ちを実感できるようになるし、自転車が怖いと感じていた子どもの頃の緊張感も思い出すことができたり、理屈抜きで時空を交錯できるんです。こんなすごい経験が出来ると、なんで誰も教えてくれなかったんだろう(笑)

また、子どもの頃っていつも「なんかうまくいかないなあ」と思っていた記憶があるのですが、子どもといることで楽しかった記憶が甦り、自分の子ども時代も救われるような気持ちにもなります。こういう子どもと接する面白さみたいなものが、もっと具体的な切り口で伝えられるといいのではないかと思うんです。

この感覚って必ずしも血の繋がった子どもだからこそ受けるものではなくて、どのような立場にいる人でも、小さい子どもと過ごす経験というのは人生で中で貴重なものになるのではないかなと思います。

父、母、子ども…それぞれの役柄は変化していく

――くんちゃんの家はお母さんが働きに出て、お父さんが在宅作業の間に子育てと家事をする進歩的な家族という印象を受けましたが、この設定に込められた思いをお聞かせください。

昔は父親は働きに出て母親は家で家事と育児をする、という決まりきった家族像があり、その中でそれぞれが自分の役柄を演じてきたけど、今はそんな枠組みは通用しないですよね。枠組みが外れて、みんなそれぞれ家族の型を見つけていかなければいけない。そんな時に大切なのは、どれだけ子どもに真実味のある対応ができるかなんじゃないのかな、と。

子どもは未熟であって大人は未熟ではない、という価値観ではもうやっていけないのかもしれません。子どもというのは生まれた時から大人の評価者であって「それって一人の人間としての意見なの?」と真っ直ぐとした視線を向けられた時、それに耐えうるよう、大人である我々も成長せざるを得ないと思います。

時代とともに変化するもの、時代をこえて価値のあるもの

――価値観は常に変化しているというのが、くんちゃんの家の間取りにも表されていますよね。

新しい家族を描くのに旧態依然とした3LDKではダメですよね。既存の概念にはない、それぞれの家族に合った、それぞれの家族が選んだ家にしたかったんです。

だからといって、古い価値観、家族像をすべて否定するわけではありません。長い歴史の中、それぞれの時代に正解があって、その変遷の中に僕たちもいるわけで。今の価値観も明日には古くなり塗り替えられる運命にあるけれど、それだけでは悲しい。

子育てをしていく中でもがいていること、子どもと接していく中で思うことが、時代をこえても相対的に何らか価値のあるものになっていて欲しいな、と思うんです。


取材・文 / 松田祐子

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