山口県宇部市：針間産婦人科　院長 金子 法子

月経や女性特有の悩みなど気軽に検診・相談できる敷居の低いクリニック。診察以外にも性教育講演、人権・女性の健康についてなど講演活動に尽力している。 日本産婦人科学会専門医・母体保護法指定医・日本性感染症学会認定医・女性のヘルスケアアドバイザー。第5回西予市おイネ賞全国奨励賞受賞。

針間産婦人科 公式

女性は妊娠するために、毎月子宮内膜に栄養を貯め、赤ちゃんを育てるための準備をしています。子宮内膜という、赤ちゃんを育てるためのお布団のようなものをフカフカにしているんです。

その月に妊娠しなかった場合、プロスタグランジンというホルモンによって子宮が収縮し、いったん子宮内膜を血液と一緒に体外へ排出します。剥がれ落ちた子宮内膜が溶けて経血となっている状態が生理です。

月経期（生理）・卵胞期・排卵期・黄体期を繰り返しているときにおこる辛さが、ホルモンによるPMSや、子宮の収縮による生理痛です。

生理に伴っておきる腹痛などの症状が強く、寝込む、仕事や学校生活に支障をきたすなど、女性のQOL(生活の質)が下がる症状を、医学的に「月経困難症」といいます。こちらは、治療の対象です。

生理痛（月経困難症）には大きく分けて機能性月経困難症と器質性月経困難症があります。

「機能性月経困難症」は原因となる病気がないものを言います。子宮内膜症の予備軍で、生理期間のみ痛むのが特徴です。

「器質性月経困難症」は子宮内膜症・子宮筋腫などの病気が原因となっているものを言います。妊娠力が低下や痛みによる生活の質の低下がみられ、生理時以外にも痛みが生じてしまいます。

生理中は血行を良くするために温かいものや身体を温める効果のある食材を積極的に摂ると良いですよ！
身体の血液循環がよくなることで、子宮の過度な収縮を抑えることが期待できます。

はちみつを入れたあたたかい生姜湯を飲む、生姜の炊き込みご飯、アボガドやナッツ類をたくさん入れたサラダ、肉や豆腐・野菜たっぷりのお鍋もおすすめです◎

心掛けてほしいのが体を温めること。特に下腹部を温めることで血行が良くなり、子宮内膜で作られる痛みの物質（プロスタグランジンなど）による子宮の収縮を和らげることができます。

へそ出しスタイルやミニスカートは下腹部を冷やしてしまうことになり、生理痛を余計に感じてしまうので注意！下着もおへそまですっぽり隠れるようなものを選ぶと良いですよ。

ぬるめのお湯でゆっくりとお風呂につかるのも効果的。冷えて血流が悪くなってしまわないように気をつけましょう。入浴剤を入れてリラックスするのもおすすめです。

お風呂上りに全身をマッサージすれば血行を促進でき、さらに効果的ですよ。

1日の疲れを癒し、リラックス状態でぐっすりと眠ることで副交感神経が優位となり生理痛軽減が期待できます。寝るときもおなかを冷やさないようにしてくださいね！

カイロを貼って寝る場合は、下腹部や腰に貼るのがおすすめです。
それでも生理痛がひどければ、鎮痛剤に頼るのもひとつの方法です。用法容量を守って使いましょう。

1日の終わりを自分の好きなことに使い、リラックスして眠ることを心がけましょう！

骨盤内の血流が滞ってしまうことも生理痛がひどくなる原因の1つ。身体を動かすことで、筋肉の緊張がとれ、リラックス、リフレッシュ効果も得られますよ！

時間のない方も日々の勤務時間に少しでも身体を動かすことで血流は良くなります。毎日の生活習慣に簡単なストレッチを無理のない範囲で取り入れてみましょう。

【やり方】
1.四つん這いまたは椅子に座りながら背中を伸ばして骨盤を立てる
2.息を吐きながらお腹をへこませ、おへそを見るように背中を丸める

これをゆっくり1セット10回行いましょう！

【やり方】
1.床に座って両足の裏を合わせて、お腹の方に引き寄せる
2.息を吐きながら上体をゆっくり前に倒し、吐ききったらゆっくりと戻す

額を下までつける必要はありません！無理をしない程度に気持ちがいいところで止めましょう。

【やり方】
1.仰向けになり、両手で膝を抱えてお腹に引き寄せ、頭も持ち上げる
2.ゆっくりと呼吸をしたら腕を離し、身体をゆっくりと伸ばす

【やり方】
1.肩幅の広さに両足を広げて立ち、両手を腰に当てる
2.なるべく上半身は動かさないように固定し、腰だけで円を描くようにゆっくり回す

これを左右10回ずつ程度行いましょう！

かかと上げとつま先上げを交互に行うことで、血流の流れが良くなります。椅子に座ったまま、気が付いたらやる習慣をつけましょう！

【やり方】
1.仰向けになって両膝を立てて、肩幅に足を広げる
2.息を吐きながら掌で床を押すようにして腰を上げ、吐ききったら息を吸いながら腰を床におろす

腰を上げるときに、お尻をキュッと締めるのがコツ！10セット程度すると効果がありますよ。骨盤底筋群を鍛えることは生理痛の緩和だけでなく、尿漏れの予防、膣の収縮のトレーニングにもなります。

▽生理のときにおすすめの豆乳レシピとアボカドレシピ

▽おうちでできる簡単ストレッチ

今回は生理痛を和らげる方法をご紹介しました。普段の生活習慣や食事を気をつけたり、簡単なストレッチを取り入れたりするだけで、生理痛を緩和できるかもしれませんよ♪ぜひ試してみてくださいね。

生理痛は我慢するものではないですし、体質や母親からの遺伝だと勘違いしている女性も少なくありません。まずは婦人科を受診して、定期的な検診を行う習慣をつけましょう。

婦人科では低用量ピルをはじめ、それぞれの女性に合った治療方法を提案してくれます。日ごろから気軽に相談できる、かかりつけの婦人科を見つけておくといいですよ。